熱的低気圧による北東風

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日ざしなどの作用でその地域の大気が暖められた結果生じる低気圧を熱的低気圧という。熱的低気圧は、日射によって内陸に発生しやすい。

 穏やかに晴れた日の日中、中部地方には日射によって熱的低気圧が発生し発達する。熱的低気圧の中心は松本盆地に存在することが多い。

 日の出とともに長野県内各地の気温が上昇を始める。それにしたがって、長野県中部を中心に気圧が下がりはじめ熱的低気圧が発生する。各地の気温が上昇するのにともない熱的低気圧はしだいに発達する。この低気圧の影響によって長野市では昼ごろから北寄りの風が吹きはじめ、午後になると風はますます強まる。熱的低気圧は昼過ぎ最盛期を迎える。

 図5-50は、長野県で熱的低気圧が発達した日の中部地方の拡大天気図である。この日、日本付近は大きな移動性高気圧におおわれていた。中部地方の拡大天気図を作成してみると長野県内に中心のある低気圧がはっきりと見いだせる。


図5-50 熱的低気圧の天気図(1991年5月4日15時)

 熱的低気圧が発達し、熱的低気圧の中心に向かって風が吹きこむようになると、長野県北部から日本海の海風が侵入してくる。夕方になって日射しが弱まるにつれて熱的低気圧は衰弱する。それにともなって、長野市の北寄りの風も弱まってくる。