長野市における1年間の天気日数を月別にまとめたものが表5-19である。これは長野地方気象台における30年間の月別天気日数の平均値である。1日ごとの天気はつぎのようにきめている。
快晴:1日の平均雲量が1.5未満の日
曇り:1日の平均雲量が8.5以上の日
不照:1日の日照時間が0.1時間未満の日
雪 :雪の多少にかかわらず降雪(吹雪、みぞれなどを含む)のあった日
霧 :霧のため水平視程が1000m未満になった日
雷 :音の強さが中程度以上の雷鳴に聞こえた日、または雷鳴と電光を同時に観測した日
ここでは晴れの日(日平均雲量が1.6~8.4)が数えられていない。また、曇で1日中日が照らず、かつ雪が降った日は、曇と不照と雪の日数がそれぞれ1日ずつ数えられる。したがって、各月の天気項目の日数を合計しても月の日数と一致しない。
快晴の日数では、長野は年間25日であるが、県内の松本30日、軽井沢は34日である。太平洋岸気候に属する水戸49日、東京47日、静岡60日であるが、日本海岸気候では金沢19日、高田14日、新潟14日といずれも少なくなっており、長野は両気候の中間的な日数となっている。
1月だけの快晴日数をみると長野2、松本4、水戸10、東京9、静岡12、金沢1、高田0、新潟0となっていて、両気候の差は寒候期に大きい。
曇の日数では、長野の年間143日に対して松本131、軽井沢152、水戸131、東京138、静岡149、金沢175、高田182、新潟187という日数になっていて、快晴の場合とは反対に日本海側気候で多くなっており、長野の日数は太平洋岸気候のそれとみられる。曇の日数も不照の日数も梅雨と秋雨の時期に多い。
霧日数は年間20日となっているが、これは長野の場合、長野地方気象台の位置が城山公園の高台にあるためで、市内でも千曲川・犀川沿いの地域や山間地などでは、これよりもずっと多くなっている。
霧の年間の発生日数のうち、ほぼ半分は秋に集中している。秋になると長野盆地では地面や山腹の放射冷却によってできた冷たい空気が盆地にたまって発生する放射霧(盆地霧)が多いが、暖かな川面に冷たい空気が触れてできる蒸気霧(川霧)の発生も加わり、霧の日数が多くなる。
雨天の日数は、この表には載っていない。ある日が雨天かどうかを、その日の降水量だけから判断するのはむずかしい。たとえば、1日中小雨が降りつづいて降水量が3mmであったばあいと、1日のうちに1時間だけ3mm降ってあとは晴れてしまったばあいとを比べると、感覚的に前者は雨天、後者は晴天ととる人が多いと思われる。日降水量だけからみて、何mm以上の日数を雨天日数と決めつけるわけにはいかない。
ここでは雨天日数をみるために、日降水量1、10、30、50mm以上という階級別に分けた日数で示した。日降水量が大きい日は梅雨、台風、秋雨のころが多いといえる。
雷日数は、長野では6~8月の夏に多く、冬はたいへん少ない。
雷には界雷、熱雷、両者が複合した熱界雷などがある。界雷は寒冷前線付近の上昇気流が原因で発生するもので、冬から春に多い。
熱雷は強い日射で地面付近が熱せられて、そのときできる激しい上昇気流で積乱雲(雷雲)が発達して生じるもので、夕立はこの型である。雷雲は雹(ひょう)や突風、落雷をおこし、局地的に豪雨をもたらす。
熱界雷は両者の原因が重なったもので梅雨期に多く、スケールの大きいものが多い。12、1、2月の雷日数は、長野ではいずれも0であるが、日本海沿岸では月に5~6日の雷日数がみられ、雪を降らせたりする。
太陽が雲や霧にさえぎられることなく地上を照らした時間を日照時間という。日照時間の多少はいろいろな条件に影響されるが、季節のうえからみると、太陽高度が高い夏は冬に比べて多いのがふつうである。また、同じ地方でも山間の谷地などでは、雲や霧がなくても平地に比べて日照時間は少ない。
日照時間の分布は快晴・曇天日数の分布に対応していて、いちじるしい地域差があらわれるのは冬である。
長野市をはさんで、日本海と太平洋沿岸の都市の日照時間を比べたものが図5-54である。冬(12、1、2月)は新潟がもっとも少なくほぼ190時間、長野は約2倍の380時間、静岡は550時間を超している。
こうしたいちじるしい地域差は、北西季節風によるものであるが、季節風が衰える春になると日本海側の日照時間も増えてくる。太平洋高気圧におおわれる夏は各地とも多い。長野の冬の日照時間は太平洋側に比べればまだ少なく、年変化の仕方も日本海側に似ている。