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11月25日ごろから2月20日ごろ。盆地周縁の高い山々が白く雪をかぶるようになると、長野盆地でも冬の気配を感じるようになる。長野地方気象台の平年値でみると、東部山地(東方連山)の初冠雪は10月22日、長野市の降雪の初日は11月19日である。

 西高東低の冬型の気圧配置になると、本州では北西の季節風が吹いて、日本海側に雪を、太平洋側に晴天をもたらす。長野市域は太平洋岸気候と日本海岸気候のほぼ境界に位置するために、そのときどきの状況によって両気候帯の性質があらわれる。犀川をはさんで北部は日本海側、南部は太平洋側の影響を受けやすいが、冬は日本海側の影響があらわれやすい。

 西高東低の気圧配置が強くなると、灰色の厚い雲が北の方から盆地周縁の山地を越えて平坦地までおおい、ときには激しく雪を降らせる。また、平坦地まで吹きだした風は、市街地ではビル風となったりして吹き回る。

 厳冬は1月下旬から2月上旬にかけてあらわれ、気象台の低温にかかわる記録もほとんどこの時期にあらわれている。

 高気圧が移動性となって列島をおおうようになると、天気は回復して晴天となるが、地面は強い放射冷却を受ける。このころ、盆地周囲の山間地は厚い積雪におおわれているため、さらに寒冷の影響が大きくなる。

 2月になって、冬型の気圧配置が一時的に崩れ、日本列島の南岸沿いに低気圧(南岸低気圧)が東進すると、北の寒気が入りこんで、上(かみ)雪と呼ばれる大雪となることがある。樹木の枝折れやハウスの倒壊などの被害もでたりするが、春の前兆でもある。山間地では、なだれに対する警戒も必要である。


写真5-40 大雪の朝(城山公園にて)