〔少雨と高温による災害(干ばつ)の例〕 1994年(平成6)7~9月

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 この年は梅雨が平年より1週間以上も早く明けたあと、夏のあいだ日本付近をおおう亜熱帯高気圧の勢力が強く、9月の初めまで衰えずに居座ったため台風の接近もなく、フェーン現象による気温の上昇も加わって猛暑となり記録ずくめの夏となった。

 長野市における7~8月の気象状況はつぎのようである。

・月平均気温 7月26.6℃ 平年差+3.1℃

       8月27.6℃ 平年差+2.8℃

  7月、8月ともに月平均気温としては観測開始以来の最高(累年順位1位)である。


図5-78 1994年旬別平均気温の平年との差
(℃)


図5-80 1994年7月の平均気温・総降水量の平年値との差

・日最高気温 8月16日  38.7℃

  従来の最高気温の記録 38.6℃(1942年8月15日)を更新して累年順位1位となる。

・月別降水量 7月 25.0mm 平年比17%

       8月 39.0mm 平年比13%

  少雨の月別累年順位では7月が3位、8月は2位である。


図5-79 1994年と平年の長野市の降水量
(平成6年版『長野県の災害と気象』による)

・日照時間 7月238.6時間 平年比144%

      8月263.4時間 平年比137%

  となり、日照時間も相当多かったことがわかる。

・真夏日 7月19日~8月19日 32日間継続

  これも累年順位4位となった。

 このような状況のなかで、長野市の水源の一つである裾花ダムも枯渇状態となり、節水などの対策がとられた。県農政課がまとめた10月24日現在の農作物被害額は128億円にのぼり、激甚災害の指定を受けた。