世界の植物は大きく四つに区分され、それぞれがいくつかに細分されている。日本は全北区(ぜんほっく)のうち、シナ-日本区系(日華区系)に属してその東端にあたる。このシナ-日本区系の特徴は、地史的には氷河期の影響が少なかったこと、以後は温暖多湿な気候におおわれていたことである。したがって、植物の種類はきわめて多く、ヒマラヤ・中国・日本を含めて2万5,000~3万種と推定されている。
日本列島は、温帯の植物が主体となって暖温帯(だんおんたい)亜区と冷温帯(れいおんたい)亜区に分けられる。西南日本を占める暖温帯亜区の特色は常緑広葉樹(じょうりょくこうようじゅ)が中心であり、中部から東北、北海道に広がる冷温帯亜区は夏緑(落葉)広葉樹に針葉樹も一部含まれる。そして、亜寒帯と寒帯に対応した亜高山帯と高山帯が存在する。
この島国日本に自生するシダ植物と種子植物をあわせた高等植物は、約5,300種の野生種が生育している。そのうち、約1,800種は日本固有の植物である。
地史と気候とにもとづいて、日本列島をさらに細分する説はいろいろあって、主な植物区系は図のようである。いくつかの区系が長野県に関係し、境界は相互に重なりあったり複雑に交差している。