標高がだんだん高まると、平地では見られなかった植物が増えてくる。飯縄山(いいづなやま)(1,917m)の約1,600~1,700mから上は、コメツガやダケカンバが生える亜高山(あこうざん)帯であり、何種類かの高山植物も混じっている。真の高山帯ではないが、コケモモ、シラタマノキ、ツマトリソウ、マイヅルソウ、クルマユリなどがきれいな花を咲かせ、ミヤマハンノキ、ミヤマヤナギなどの低木も生育している。高山植物のなかまは、氷河期が終わるころ高い山へ閉じこめられた遺存(いぞん)植物で、寒地(かんち)植物と呼ばれることもある。
水が多過ぎる土地も特殊な植物が生育する。いつも流れ水がある場所は、ヨシなどがしげる低層(ていそう)湿原となっている。標高が高い山地には雪解け水や雨水だけで潤され、ミズゴケでおおわれた高層(こうそう)湿原がある。飯綱高原の逆谷地(さかさやち)(標高940m)は、ミズゴケ類が4種類も生育する貴重な湿原である。