(2) 飯縄山(いいづなやま)の植物

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 長野市でもっとも高い飯縄山(1,917m)は、標高1,600~1,700m以上が亜高山帯に含まれる。一般には、うっそうとした針葉樹林でおおわれる高さだが、山頂近くにはめぼしい森林が存在しない。むしろ、草丈の高いお花畑(写真6-91)が広がり、ササやオオカメノキ、ミネカエデ、ハナヒリノキ、オオバスノキ、サラサドウダン、ハクサンシャクナゲ等々の低木がおおって、あたかも森林限界を超えた高山帯のような景観である。このような現象は、日本海側の多雪地にそびえる独立した山岳に見られ偽高山(ぎこうざん)と呼ばれている。強い風と積雪のためである。飯綱高原を含めて、約800種の植物が野生する。

 飯縄山の語源説の一つに、かつて、山頂から飯砂が採れて飢饉(ききん)のとき多くの人命を助けたと伝わるが、現在、そのテングノムギメシ(天狗の麦飯)の所在はわからない。昔から食べられる土だといわれ、黒姫山や浅間山などには今でも見られ、小諸市味噌塚(みそづか)は国の天然記念物に指定されている。黄褐色の小さな粒の集まりで、麦飯状の寒天質のようでもあるし、形や色はさまざまである。細菌類や藻類が複合していて、いまだに正体は不明とされている。


写真6-90 大谷地からの飯縄山(左) 写真6-91 飯縄山のお花畑(右)


写真6-92 ハクサンシャクナゲ


写真6-93 オオカメノキの実


写真6-94 サラサドウダンツツジ


写真6-95 お米のようなこまかな葉をつけるコメツガ