(3) 帰化率

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 田畑、空き地、路傍、河川敷などに、どれだけの帰化植物が入っているかを定量的にあらわすには、帰化率が用いられる。

 帰化率は、その場所の植物相を調査し、群落の種組成を明らかにして算出する。


 群落別に帰化率を算出して一覧表にしたのが表6-5である。


表6-5 群落別の帰化率

・帰化率の高いところは、大きな流通施設のある場所、交通の頻繁な路傍、つねに利用していた耕地を放置して数年間の田畑、および洪水によって群落がこわされ砂礫地(されきち)がつくられやすい河原などである。帰化率が50%以上を占めている。


写真6-107 交通頻繁な路傍群落(母袋・1996)

・市街地の路傍は67%と高いが、高原の路傍は32%とかなり少なくなっている。

・田畑も耕作をやめるとすぐに多くの帰化種が入りこむが、作物をつくっているときの田畑では14%の帰化種しか生育していない。

・自然の森林群落内には、帰化種はほとんど侵入していない。ただ、人里にもっとも近いコナラ林の縁などにヒメジョオンがわずかに入っている。

・帰化種であるニセアカシアの河原の林下には7種の帰化種が生育しており、ほかの林と大きなちがいを示している。

・カラマツやスギ林のような人工林でも、帰化種は入りこまず、帰化種の生育域は、人間が土地を攪乱(かくらん)し、裸地をつくり、土をアルカリ化させるということと強く関係していると考えられる。