(3) コナラ群落

370 ~ 372

 市域の夏緑広葉樹林を代表するのが、コナラ群落である。コナラは標高400~900mの範囲内の丘陵地や山麓(さんろく)に分布している。アカマツ群落やスギ、カラマツの植林地を除いた広葉樹の大部分がコナラ群落である。

 地域住民の里山として親しまれ、15~20年に1回、薪炭材として伐採されてきた。コナラは伐採されても、切り株から芽が出て再生し、森林が復元できる。

 コナラ群落に入ってみると、根元から再生した樹木が見られる。

 1965~75年(昭和40年代)から、コナラの燃料材としての需要が激減し、現在ではほとんど利用されていない。そのいっぽうで、集落の付近の丘陵地帯のコナラ群落は、伐採されて宅地や工場用地、道路に変わりつつある。


表6-18 コナラ群落


写真6-136 コナラの雄花穂(小田切)

 コナラ群落は相観(そうかん)的(植物の生活形を主体とした外観や、ある場所に生育している植物の全体としての様相)には、カスミザクラ、ウワミズザクラ、オクチョウジザクラのサクラ類とコナラ、クリ、ダンコウバイなどを主体とした雑木林である。構成種をみると、ケヤキ群落、アカマツ群落と共通する種が出現する。コナラ群落に結びつきの強い種には、ヤマコウバシ、ツリバナ、コマユミ、ハリギリ、カシワ、ケカマツカなどがある。

 コナラ群落の構造を見ると、高木層(樹高12~18m)はコナラ、クリで植被(しょくひ)率(それぞれの植物の林床面積をおおっている割合)は、平均80%以上である。亜高木層(樹高6~8m)には、ウリカエデ、ホオノキ、クヌギなどがあり、植被率は平均40%以下になっている。低木層(2~3m)には、灌木(かんぼく)類のイボタノキ、ウコギ、コバノガマズミ、ヤマツツジなどが見られる。草本層は群落内の陽光が林床に十分届くので、シュンランやチゴユリのほかに、リュウノウギク、ヤマヨモギ、ヤマニガナ、アキノキリンソウなどの顕花植物が多い。

 クヌギは、市域においては周辺部の向陽地(日あたりのよい場所)に多く分布している。


図6-19 コナラ群落の断面模式図


写真6-137 コナラ群落
(虚空蔵山)