(4) シラカンバ群落

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 県木に指定されているシラカンバは、木肌が白くて美しいのが特徴で、人びとに親しまれている。樹皮は民芸品、材は家具、マッチの軸木、パルプなどに利用されている。

 また、高原の別荘地にシンボル的存在として、植えられている。種子の発芽もよく、その年に30cm、2年目に1m、3年目に3mと成長が早い。樹皮が白色になるのは、ほぼ3年目ごろの樹木である。

 日本においては、シラカンバは岐阜県以北に分布している。分布域に共通することは、夏期と冬期の気温の差が大きいことと、雨量が少なく、積雪も少ないことである。この気候の特徴は、大陸的な気候に相当する。

 市域の分布は、飯綱高原、富士ノ塔、妙徳山、篠山、小花見高原などに点在している。いずれの地域も広い範囲での分布ではない。植生帯としては、夏緑広葉樹林帯の上部(ブナ帯)に位置している。


写真6-138 シラカンバ群落(飯綱高原)

 シラカンバは、標高900~1,500mの山地帯の森林を伐採すると、最初に侵入してくる。

 生態的には、ミズナラ林やウラジロモミ林への移行過程の二次林として考えられる。

 シラカンバ群落から、つぎの群落への移行には、長い時間を要する。

 乾燥と冬の寒冷などが作用して遷移(せんい)(環境と植生の相互関係による部分的な植生の移り変わり)の進行が遅れると、シラカンバ群落が持続する。シラカンバは陽樹であり、林床にレンゲツツジが結びつくシラカンバ-レンゲツツジ群落が知られている。

 市域においては、飯縄山で1ヵ所認められた。この群落は、標高1,200m以上の夏緑広葉樹林帯に分布し、自然林のブナ、ミズナラが伐採されたあとに、二次的に形成されたものと推定される。

 シラカンバ群落の構成種は、シラカンバそのものの景観を保つために、定期的に下草刈りがおこなわれる場所では、群落と結びつきの強い種の判定はむずかしい。

 一般には、ミズナラ群落とコナラ群落に出現する種で構成されている。群落区分種に相当するものに、シラカンバ、ハイイヌツゲ、コブシ、コシアブラなどがある。


表6-19 シラカンバ群落