(5) ミズナラ群落

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 ミズナラがコナラと違う点は、葉柄がなく、葉の縁のぎざぎざの切れこみが丸みをおび、深く尖らないことである。

 市域においては、標高700~900mを境にして、それより上部がミズナラ群落、下部がコナラ群落と標高的にすみ分けている。ミズナラの上部は、標高1,600m付近まで分布している。

 垂直分布帯では、夏緑広葉樹林帯の上部に位置する。優占種による植生帯でみると、ブナ帯に入る。そのため、ブナ群落と構成種が共通するものが多い。

 ブナは単木としては、妙徳山、保基谷(ほきや)岳、陣場平(じんばだいら)山、飯縄山などに分布しているが、広い面積にわたっての群落はない。飯縄山と連なる霊仙寺山には、標高1,450m付近にわずかな面積だがブナ群落が発達している。

 ミズナラ群落は、ほとんどが自然植生ではない。ブナ林や他の森林の伐採後に形成された二次林(代償植生)である。

 地域においては、薪炭材として活用するために、人為的な管理下に置かれたところもある。

 群落は山地の沢筋、尾根、斜面などで、やや乾燥地から湿り気の多い場所まで見られ、立地の環境は多様である。

 標高の高いカラマツ植林地では、沢筋に成長のよいミズナラが見られる。構成種には、ミズナラ、ミヤマガマズミ、ウリハダカエデ、オオバクロモジ、サワフタギ、ホオノキなどが高い頻度(同じ種が繰りかえして出現している度数)をもっている。


表6-20 ミズナラ群落

 同じ市域のミズナラ群落であっても、林床の植物の種類に多少の違いが見られる。ミズナラとオオバクロモジの結びつきの強い群落は、三登山、飯縄山、陣場平山など比較的積雪の多い地域で、林床にはハイイヌガヤ、ヒメアオキ、エゾユズリハ、ハイイヌツゲなどの常緑小低木のブナ群落の植物が入っている。

 これらの群落は、日本海型のミズナラ-オオバクロモジ群落として認められている。奇妙山、妙徳山のミズナラ群落は、ヤマウルシ、ホツツジ、ソヨゴなど、隣接するアカマツ群落の植物が入っている。

 群落構造は、おおよそ4階層(高木、亜高木、低木、草本)であり、優占種のミズナラの芽吹き、葉の展開、開花、結実の生活サイクルの適応ができる種で構成されている。


図6-20 ミズナラ群落の断面模式図


写真6-139 ミズナラ群落(保基谷岳)