(1) カラマツ植林

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カラマツは、昭和20年代後半から造林樹種の評価を受けて、積極的に植林されてきた。

 現在、山地の植生のなかで、もっとも広い面積を占めている。

 飯縄山では標高1,000~1,200m、奇妙山においては標高1,000~1,500mの範囲内の、多くの国有地に植林されている。私有林においては、標高550~950mの山地帯に植林されている。

 植林地の環境は、比較的土壌が厚く、なだらかな斜面で、雪崩(なだれ)や土砂崩れによる崩壊の少ない場所が多い。

 カラマツ植林の構成種は、標高や植生帯、管理の有無などによって違いがみられる。

 標高1,000m以上の山地帯上部の植林で、林床にシナノザサが優占しているところは、サワフタギ、タラノキ、ノリウツギなどの低木類とツタウルシ、ヤマブドウ、ツルアジサイのつる植物、トリアシショウマ、サラシナショウマ、オオバギボウシ、ツルリンドウなどの多年生草本植物で、種類数の限られている植林が多い。


写真6-147 カラマツ植林(高遠山)


表6-27 カラマツ植林

 管理の行きとどいている植林では、ワラビ、タチツボスミレ、イタドリ、ヨモギ、ノイバラなどの再生力の強い植物が見られる。

 植林される以前の植生が広葉樹林であったところは、ダンコウバイ、サワフタギ、ウワミズザクラ、イボタノキ、ツノハシバミ、コシアブラ、ハルニレなどの、コナラやミズナラ群落に結びつく植物が多く出現する。

 植林内は、植樹の間隔、その後の間伐(かんばつ)などによって、林内の空間、明るさが影響され、階層構造が変化してくる。多くのカラマツ植林においては、高木層のカラマツと林床の草本層の2階層に単純化されており、亜高木層、低木層は種類も少なく、貧弱である。