(1) 雑繊維からアサの栽培へ

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暑さ寒さの気候の変化に衣が必要となり、集団生活での秩序づけの標識にも衣は深くかかわっていた。衣類をつくる布は、動物の毛や植物の茎、皮の繊維を使い、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の組み合わせによって線から面を織(お)りだした人類の知恵である。

 植物繊維は、世界中で太古から使われ、アマ(アマ科)、ワタ(アオイ科)、アサ(クワ科)その他の四つの文化圏が知られている。日本には、中国からアサ(麻)が伝わった。ただ、中国の麻はカラムシ(苧麻(ちょま))、イチビ(〓麻(チンマー))、アサ(大麻(たいま))などをまとめたもので、麻に字をつけ加えて各種の植物をあらわしている。