④ その他の雑繊維

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 カラムシやアサの良質な繊維に混じって、シナノキをはじめ身近な山野から採取できる植物も使われていた。木綿(ゆう)、白たえ、白にぎてなどと呼ばれるものである。

 諏訪神社の神紋とされるカジノキ(梶、クワ科)は、東南アジアから中国北部へかけて栽培され、樹皮の繊維は衣料や製紙に使われた。平安朝の七夕(たなばた)には、カジの葉に歌が書かれている。コウゾ(楮、クワ科)は、カジノキと野生種ヒメコウゾとの雑種が栽培されたもので、近年まで製紙用に使われて今でも各地の土手に生えている。


写真6-154 コウゾ

 静岡県の伝統織物である葛布(くずふ)は、クズ(葛、マメ科)の繊維が使われている。じょうぶな木綿(もめん)かアサの経糸(たていと)に、クズの緯糸(よこいと)で織りあげた布で、鎌倉時代からつづいているという。


写真6-155 クズ