昭和30年代のはじめまで、長野駅前通り(県道長野停車場岡田線)には、アンズ並木がつづいていた。道路は砂利道で、現在の八十二銀行本店やバスターミナルがまだ長野工業高等学校であったころである。
この並木は、「アンズの里」として有名な安茂里のアンズにちなんだものと考えられる。ところが、昭和40年代に道路が拡幅改修されると、アンズは切り倒されてカイヅカイブキの街路樹に変わった。
カイヅカイブキは、昭和60年代になると、リンゴなど果実の赤星病の発生樹とされ、行政的に使用を中止した。当路線も都市景観整備事業にあわせて、アメリカハナミズキに再度植えかえられた。長野市の代表花の一つであるアンズ並木は、今では幻の並木となって惜しまれている。