(1) キノコとは何か

411 ~ 411

キノコは長いあいだ、植物のなかまだと考えられていた。しかし、最近はカビ(黴)や細菌などをまとめて菌類というなかまに分類されている。

 菌類の体は、菌糸からできている。この菌糸がいっぱいに広がった状態がカビである。菌類の種類によってはカビの状態のものが、ある時期になると有性生殖をするために特別な器官(子実体(しじつたい))を作る。この子実体を一般にキノコという。したがって、菌類の8割以上は顕微鏡で見なければわからない微小生物である。キノコといわれる大形の子実体をつくる菌は菌類の一部なのである。

 このように、キノコ(子実体)は、有性生殖をするための器官だから植物でいえば花にあたる。

 子実体で菌糸が接合し、核が合わさって有性生殖をおこなう。キノコ菌は、植物や動物の遺体などから養分を得て生活している。有機物の生産者である緑色植物、消費者である動物、そして、分解者であるキノコをはじめとする菌類によって、地球上の物質循環は成りたっている。動物の死体や糞(ふん)を土にもどすのも分解者であり、キノコはまさに地球の掃除役をはたしている。