秋になると、毒キノコによる中毒が毎年のように繰りかえされ、新聞等に報道される。
キノコ狩りに行ってたくさんのキノコが採れたとき、このキノコは食べられるのかと考えるが、簡単に毒キノコを見分ける方法はあるのだろうか。残念ながら、そのような方法はない。それでは、毒キノコと食用キノコはどうやって見分けたらよいのだろうか。
まず、キノコにくわしい人に見てもらうこと。また、キノコを保健所へもっていって見てもらうこともよいだろう。図鑑などで調べても色、形、大きさなどが違ったりするので、わからないことのほうが多い。
試薬を用いた検定法も、ごく一部のキノコにしか適用できないので確立されていない。
また、昔からキノコに関する迷信はいくつかある。そのいずれも間違っている。それらの迷信を信じていたために、キノコ中毒になることが多い。
つぎに、迷信の主なものをあげてみるので、惑わされないように注意しよう。
① 「茎が縦にさけるキノコは食べられる」
毒キノコ(例:クサウラベニタケ、カキシメジなど)のほとんどは茎が縦にさける。逆に、食べられるキノコ(例:チチタケ、ハツタケなど)でも茎が縦にさけないものがたくさんある。
② 「毒キノコは毒々しい色をしている」
毒キノコのベニテングタケは傘の色が真っ赤で毒々しいが、ほとんどの毒キノコは、いかにも食べられそうな色や形をしている。
③ 「毒キノコでもナスと煮れば食べられる」
毒キノコの成分はさまざまなので、一種類の毒成分が中和できたとしても、他のものに効果があるとは限らない。まして、ナスに毒を消す成分はない。
④「 塩漬けにすればどんな毒キノコでも食べられる」
カキシメジのように中毒症状の軽いものは、塩漬けにして食べている。ドクツルタケのような猛毒キノコは、塩漬けにしても乾燥しても食べられない。
⑤ 「ナメクジや虫が食べているキノコは食べられる」
タマシロオニタケやドクツルタケのような猛毒のキノコでも、ナメクジや虫は平気で食べている。ナメクジや虫が食べているからといっても、人間が食べられるとは限らない。
以上のほかにも、多くの迷信がある。それらの迷信を信じないで、採ってきたキノコは、よく知っている人に見てもらうことが中毒にならない秘訣(ひけつ)である。
また、数多い食べられるキノコを覚えるよりも、数少ない毒キノコを確実に覚えていくことが、キノコ中毒を防止していくことになる。