(2) キノコ中毒の症状

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 ① 人体の細胞を破壊し、肝臓、腎臓に障害を与え、死をもたらす。特徴があらわれるまでに6時間以上、通常10時間かかる。

・環状ペプチド(アマニチンなど)による中毒で致命的な主な毒キノコ――ドクツルタケ、シロタマゴテングタケ、タマシロオニタケ、フクロツルタケ、コレラタケ(ドクアジロガサ)、ニセクロハツ


写真6-211 フクロツルタケ 9月22日
大峰山


写真6-212 コレラタケ 10月9日
篠ノ井

・モノメチルヒドラジン(ギロミトリン)による中毒で致命的毒キノコ――シャグマアミガサタケ

 ② 主に自律神経系に作用する。特徴は食後20分~2時間にあらわれる。

・コプリン(悪酔い)中毒――ホテイシメジ、ヒトヨタケ

・ムスカリン(発汗)中毒――アセタケ類


写真6-213 ホテイシメジ 9月26日 飯縄山麓


写真6-214 ヒトヨタケ 8月26日 市内赤沼


写真6-215 オオキヌハダトマヤタケ(アセタケ類)7月8日 大座法師池

 ③ 主に中枢神経に作用する。特徴は食後20分~2時間後にあらわれる。

・イボテン酸-ムッシモール(せん妄:外界に対する意識がにごり、錯覚多く、妄想のあらわれる症状)中毒をおこす主な毒キノコ――テングタケ、ベニテングタケ

・シロシビン-シロシン(幻覚)中毒をおこす主な毒キノコ――ワライタケ、センボンサイギョウガサ、オオシビレタケ、ヒカゲシビレタケ


写真6-216 テングタケ 9月11日
大峰山


写真6-217 ヒカゲシビレタケ 7月18日
滋賀大

 ④ 主に胃腸を刺激する。毒成分の不明なものが多く、特徴は30分~3時間後に始まる。

・症状が嘔吐(おうと)、下痢、腹痛などをおこす主な毒キノコ――ツキヨタケ、カキシメジ、クサウラベニタケ、ニガクリタケ


写真6-218 ツキヨタケ(幼菌) 9月1日
飯縄山麓


写真6-219 ツキヨタケ(成菌) 9月1日
飯縄山麓


写真6-220 ニガクリタケ 11月20日 大峰山

 ⑤ 手足の末端の腫脹(しゅちょう)、壊死(えし)、末梢(まっしょう)神経障害による激痛をもたらす主な毒キノコ――ドクササコ

 以上のような毒キノコには、よく似ている食用キノコがある。キノコにくわしい人に教えてもらうのが、キノコ中毒にならないもっともよい方法である。また、キノコの見分け方を書いた本が多く出版されているので、それらを参考にすることもよいだろう。


写真6-221 ドクササコ 10月30日 中野市田上