(4) 子のう菌類

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 子のう(嚢)菌とは、子のうと呼ばれる袋状の細胞のなかに胞子をつくる菌類をいう。子のう菌のキノコでよく知られるのは、子実体が椀(わん)形~皿形のチャワンタケ型のものである。この椀の内面には、棍棒(こんぼう)形の子のうがぎっしりと並んだ子実層があって、熟すると子のう胞子が煙のように立ちあがる。

 この型のキノコには,柄のないものから明らかに長い柄をもつものまである。柄のあるチャワンタケ型のキノコは椀の周縁が外側にそり返り、さらに、柄に沿って垂れさがったものが帽状形をしたキノコである。鞍(くら)形や脳みそ状の頭部をもつキノコもある。椀形のキノコの一部分が底まで裂けるいっぽう、その反対側が上方に長く伸びると耳房形のキノコになる。

 椀が多数くっつき合って、これに太い柄を生じたのがアミガサタケ型のキノコである。これらと違って子実体が棍棒形~槍(やり)形あるいは頭巾(ずきん)形となるキノコもある。

 たとえば、冬虫夏草(とうちゅうかそう)のなかまであるセミタケ(写真6-202 地中のニイニイゼミの幼虫の頭部から発生する)や、タンポタケ(地中に生じるツチダンゴという子のう菌に寄生する)、マメザヤタケ、ヘラタケ、チャワンタケ、ミミブサタケ、アミガサタケ(食)などがある。


写真6-241 ヘラタケ 9月26日 飯縄山麓


写真6-242 オオチャワンタケ 10月22日
赤沼


写真6-243 ヒイロチャワンタケ 10月6日 飯縄山麓


写真6-244 ミミブサタケ 7月13日
富士ノ塔山