ノウサギは完全な草食性の哺乳(ほにゅう)動物である。キツネやイタチ、テンなどの哺乳動物や、ワシ・タカなどの猛禽(もうきん)類の食物として欠かせない動物である。ノウサギは、ほとんど単独で行動し、決まったねぐらもない。林のなかの岩かげ、株のあいたの穴、やぶのなかやススキのなかにもぐりこんで休息する。この点が穴を掘ってねぐらにするカイウサギと違っている。
長野市では山間部の全域で足跡を確認できたが、個体数は少ないようである。とくに飯縄山麓や人里に近いところには生活痕跡(こんせき)が少ない(図7-4)。
全国的にみてもノウサギは減少しているが、山林の荒廃や、捕食者であるキツネなどの肉食獣が豊富な残飯により養われ、個体数を減らさないのが原因と思われる。