テンと同じような体型であるがそれより小型である。雄の体長は尾を除いて30cmくらいであるが、雌はその半分ぐらいの大きさしかない。これは、体の大きさを違えることにより、とる獲物の種類をかえ、同じ場所にすんでも雄と雌で餌争いをしなくてもよいためだといわれる。
1990年(平成2)4月から5月にかけて、長野市に境を接する小県郡真田町の菅平湿原で延べ42個のイタチの糞を拾って、内容物を調べたが、その86%からネズミ類の骨や毛が出てきた。イタチの主食はネズミのなかまであり、農業上からもとても有益な動物である。このときに、糞の太さから、雄イタチの糞と、雌イタチの糞を推定して、本当に餌を食べ分けているか調べたが、雌イタチのものと思われる糞のほうがネズミ類の割合が多かった。これは、体の小さい雌イタチのほうが、狭いところまでネズミを追って入っていけるためではないかと思われる。いずれにしても、イタチの雌雄の大きさの違いは、食性をまったく変えるほどではなく、若干変えるくらいである。
イタチは完全な肉食で、魚類やネズミ類、カエル、サワガニなど水辺の生き物を主に食べている。菅平での調査では、残飯のなかの動物質をあさったせいか穀類の入った糞も見られた。いずれにしても餌の関係で川や池の近くに生息している。
長野市では松代町の平坦部から飯綱高原まで生息を確認したり、目撃情報があった(図7-7)。カイウサギやニワトリを食害されたという情報も多い。イタチはわずかなすき間があれば、建物のなかに入ることができるからである。飯綱高原では水を抜いた溜池(ためいけ)に、たくさんの足跡が見られた。わずかな水たまりに閉じこめられた魚類をねらってきたものと思われる。信更地区でも聖川の川べりを歩く足跡や、用水路の土管のなかに入る雪上の足跡が多数確認できた。