イノシシ (偶蹄(ぐうてい)目 イノシシ科)

440 ~ 441

ツキノワグマとともに日本を代表する大型獣である。かたい鼻づらで土を掘りおこし、植物の根や地下茎を食べる。広い畑でも一晩で掘りおこしてしまうため、イノシシによる作物の被害は深刻である。イノシシには泥地に寝ころがり、体に泥をつける習性がある。そのあとが「ぬた場」である。

 イノシシは集団生活をし、群れで行動する。追われると一山二山は平気で走りとおして逃げていくが、そのコースは決まっており、経験を積んだ猟師は先まわりをして待ちぶせてとらえる。イノシシの前足は短いため、あまり雪の深いところには生息できない。イノシシの分布の北限は、積雪30cm以上になる日が70日のラインまでといわれる。

 長野市では松代地区で4例の目撃情報があった。また、松代町から小県郡真田町に通じる地蔵峠の真田町側で、足跡とぬた場を確認している。真田町の傍陽地区では、最近になって何頭も捕獲されている。松代地区へは真田町から分布を広げてきたものと思われる。

 佐久・上田小県地方のイノシシは、トンコレラの流行により姿を消し絶滅したとされていたが、近年佐久地方のほうから再び分布を広げてきたようである。この山塊には、須坂市にもイノシシよけに築かれた土手の跡が残されており、かつては農作物への被害が深刻なほど生息していたことがわかる。


写真7-22 イノシシ