1 人里の鳥

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 1993年(平成5)から95年にかけて、市内の農耕地および市街地で見られる鳥について調査した。農耕地は隣接集落の一部を含め、平坦(へいたん)地水田・傾斜地水田・平坦地果樹園・傾斜地果樹園・平坦地水田果樹園・傾斜地水田果樹園の六つに区分した。また、市街地は公園・住宅地・市街地の三つに区分した。調査したそれぞれの場所の環境は写真7-25~33のようである。調査はあらかじめ設定した距離1.5~2.0kmの5コースを歩き、左右25m幅内で観察されたすべての鳥の種類を記録する線センサス法によりおこなった。計9ヵ所の調査地について春・初夏・夏・秋・冬の5回調査し、これを3年間にわたり実施した。このほか、随時調査地内を歩きまわり生息種を記録する調査も計38回実施した。


写真7-25 公園(城山)


写真7-26 市街地(中央通り)


写真7-27 住宅地(風間)


写真7-28 平坦(へいたん)地水田(綿内)


写真7-29 傾斜地水田(信田)


写真7-30 平坦地果樹園(赤沼)


写真7-31 傾斜地果樹園(山新田)


写真7-32 平坦地水田果樹園(真島)


写真7-33 傾斜地水田果樹園(犬石)

 線センサス調査で出現した鳥はドバトを含めて37種で、うち繁殖期(初夏・夏)に29種、非繁殖期(春・秋・冬)に21種が観察された。また、留鳥(りゅうちょう)は23種で夏鳥は6種、冬鳥は8種である。なお、線センサス調査以外の確認を加えると1993~95年に人里で記録した鳥は80種である。環境別にみると、公園が21種と飛びぬけて多い。少ないのは市街地の11種、住宅地の12種である。線センサス調査以外の記録を加えると、公園で41種、住宅地で47種記録された。平坦地水田果樹園では細野(1967)の53種の記録がある(池・河川は除く)。

 出現頻度はスズメが93%を示し、すべての環境でほぼ通年出現し、人里のもっとも代表的な鳥といえる。次いで、ヒヨドリ、ムクドリ、ハシボソガラス、カワラヒワの順になり、いずれも留鳥である。夏鳥ではツバメ、コムクドリが、冬鳥ではツグミが高率を示している。