観察種類数と生息状況

450 ~ 451

上記二つの調査方法により、合計81種類の鳥を観察した。

 山地内には湖沼も多くあり、データのなかには水鳥も多く入ってきたが、ここでは主に山地の森林内に生息する鳥に限定し、カイツブリ、サギ、ガンカモ科の鳥は除いた。

 いっぽう、森林内に建てられた別荘などの影響を受け、本来からすると森林の鳥とはいえないツバメ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラスなどは含めた。また、山地を流れる渓流や沢などに依存しているセキレイ、ミソサザイのなかま、山地の草原に依存するホオジロ、アトリのなかまも含めた。

 出現種数81種の種類構成を陸鳥と水辺の鳥に分けてみると、図7-10からも明らかなように陸鳥は76種(93.8%)、水辺の鳥は5種(6.2%)である。


図7-10 全種の環境別種類構成

 陸鳥をみると前述のように森林の鳥とはいえない鳥もあらわれている。トビは主たる餌場(えさば)が河川や大きな集落であるが、ねぐらはアカマツなどの林のなかに群れで就塒(しゅうじ)する。コジュケイは北信では雪深いということもあってか、あまり見かけなかった。しかし、最近、長野市でも雪の少ない松代の東条(ひがしじょう)や信更(しんこう)町などの竹やぶで、特徴ある大きな鳴き声を聞くようになった。これまで北佐久郡北御牧村や小県郡東部町辺りまでは多く生息しているのを観察しているが、生息範囲を北に広げてきたものと考えられる。

 ツバメやイワツバメは、山間地農村集落や飯綱高原のホテルや旅館のコンクリート壁での繁殖が認められる。オオヨシキリは飯綱高原の谷地(やち)湿原など、湿地内のヨシ原で繁殖している。ホオジロは森林と耕地、草原、道路など開けたところの縁の部分にあらわれる。スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラスは、最近急激な勢いで開発が進んでいる飯綱高原の観光地や別荘地で、その数を増やしている。

 水辺の鳥5種は、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、カワガラス、ミソサザイで、これらの鳥は別荘などの人家近くの小さな沢や森林内の渓流沿いにあらわれている。

 調査期間中実際に観察した種類は、前述のように81種であった。これ以外にも長野市の森林に生息していることが確認されている種類がいる。ここでは調査中にあらわれた種類に限って取りあげた。


写真7-53 アカゲラ 森林を代表する鳥


写真7-54 キセキレイ 山間地の清流にすむ水辺の鳥