出現鳥81種を渡り別に留鳥(りゅうちょう)、渡り鳥(夏鳥、冬鳥)、漂鳥(ひょうちょう)、旅鳥(たびどり)、迷鳥(めいちょう)と分けてみた。
留鳥……スズメやカラスなどのように、一年中同じ地域にすんでいる鳥
渡り鳥
夏鳥……ツバメやカッコウなどのように、春になると南の国から日本へ繁殖のために渡ってくる鳥
冬鳥……カモやツグミなどのように、秋になると北の国から日本へ渡ってきて、冬を過ごす鳥
漂鳥……ウグイスやアオジなどのように、日本の国のなかで繁殖地と越冬地をもち、春と秋に両地を行き来する鳥
旅鳥……大部分のシギやチドリなどのように、繁殖地と越冬地が日本以外にあって、移動の途中の春と秋に日本へ立ちよる鳥
迷鳥……ミズナギドリのなかまなどのように、本来そこにいない鳥が台風や原因不明で突発的にあらわれる鳥
籠(かご)抜け鳥…インコやベニスズメなどのように、ほんらい飼い鳥であったのが籠から逃げだし、繁殖している鳥
ただし、観察された81種のなかに、旅鳥、迷鳥、籠抜け鳥はいなかった。
図7-12からも明らかなように、留鳥34種(42.0%)、夏鳥20種(24.7%)、冬鳥11種(13.6%)、漂鳥16種(19.7%)である。
このように分けてみたが、正確な区分はなく、たとえばツバメは夏鳥、コマドリは漂鳥、シメは冬鳥にしたが、日本列島全体というマクロ的な見方をすると、これらの鳥はすべて留鳥ということになる。ツバメは毎年何ヵ所かで越冬しているし、コマドリは少数越冬するものもいる。また、シメは北海道では繁殖している。しかし、できるだけ長野市の山間地森林という立場で分けてみた。
留鳥のなかまのヤマドリ、アオゲラ、セグロセキレイを観察した。これらの鳥はつねに私たちが目にする身近な鳥であるが、周年日本にいて、日本で繁殖するまさに日本特産種といえる鳥である。ノジコは日本国内の長野県北部から北の東日本で繁殖し、冬になると西日本や台湾、中国で越冬する。日本だけで繁殖し、飯縄山麓(いいづなさんろく)はその南限である。
漂鳥のなかには、ミソサザイやウグイスなどのように飯縄山麓などの山間地で繁殖し、冬になると善光寺平へくだって越冬するタイプと、長野県からとびだし西日本などへ大移動して越冬するタイプがある。また、ハクセキレイのように、繁殖地が新潟などにあって、冬になると千曲川などの水辺や山間地の水場に姿をあらわすものもある。