アズマヒキガエル

473 ~ 473

アズマヒキガエルは山地に生息し、ふつうに見られるヒキガエルである。目のうしろには、細長くふくらんだ耳腺(じせん)と呼ばれる毒腺が発達しており、捕食者に不快をあたえて逃れるのに役立っている。

 体長は、15cmほどにもなる。アマガエルのような鳴のうはもたないが、桜の咲くころになると沼地や池などに集まり、小さな声で「クッ、クッ、クッ」と鳴きながら繁殖をおこなう。繁殖時の性比にはかたよりがあり、雄の数が雌の3~10倍にもなり、雌の争奪戦がおこなわれる。これを「ガマ合戦」とか「カエル合戦」と呼んでいる。長野市では松代町の明徳寺が有名であったが、近年では数がめっきり少なくなり、1995年(平成7)4月23日の調査では、十数個体と10あまりの卵塊が見られただけである。卵塊は細長いひも状で5mあまりにもなり、1卵塊に5,000個前後の卵が入っている。


写真7-102 アズマヒキガエルの卵塊
(松代町明徳寺)


写真7-103 アズマヒキガエルのふ化直後の幼生


写真7-104 アズマヒキガエル