イワナとヤマメは、ともにサケ科に属する冷水性魚類である。長野市の河川ではこれら2種の主な生息域は、同じ渓流域にあっても互いに大きく重なりあうことは少なく、上流と下流とにすみ分けている。浅川では上流にイワナが、そしてその下流にヤマメが生息し、生息域の位置関係が逆転することはない。また、滝や堰堤(えんてい)などの障害物によって、ヤマメが上流へ生息域を拡大することは阻まれているが、イワナの生息域は、夏季の水温などの条件が許せば逆に下流方向に拡大されている。両種の生息域が重なる水域では、イワナが淵(ふち)の底層の比較的遅い流れを採餌(さいじ)場所に利用するのに対して、ヤマメは水面近くや平瀬の瀬頭付近の、速い流れを採餌場所に好んで利用することが多く、同じ河川内でうまくすみ分けて共存している。