市内の雑木林周辺のクズや草だけの高い草むらでは、夏から秋にかけカンタンの鳴き声がにぎやかである。カンタンは、夜行性であるため鳴くのは夜で、夕方から夜おそくまでルルルルル…と美しい声で合唱するように鳴く。成虫はクズの葉を好んで食べるほか、肉食もする。
体長は1.5cmほどで、体はつまようじのように細い。雌は9月にヨモギやクズの茎に産卵管をさしこみ、組織内に産卵する。
カンタンが鳴く草むらでは、夜になると、スイーッチョン、スイーッチョンと鳴くハヤシノウマオイが活発に動きまわっている。長野では、その鳴き声から「スイッチョン」と呼ばれている虫で、山麓(さんろく)では家の周辺にもいる。体長は3.5cmほどで、全身緑色、他の虫を捕って食べるため、前足と中足には虫を捕らえる鋭いとげがある。このハヤシノウマオイは、日中は葉かげにいるが、夜になると草の葉や背の低い木の葉の上を活発に歩く。また、灯火へ飛来し、鳴いたり虫を捕食したりする。雌は卵を土のなかへ産む。
雑木林の周辺では、夏になると日中でもアシグロツユムシ、セスジツユムシ、ツユムシなどが、細い体と細長い足で草のあいだや木の葉の上を歩いているのが見られる。
長野でよく見かけるのがセスジツユムシで、体長は2cmほどであるが、羽は細長く先端まで5cm、後足も細長く、伸ばすと6cmもあり、全身緑色で背面はすじ状で黒褐色である。セスジツユムシは草や木の葉を食べ、ときどきチッチッチッと小さい音で鳴く。
雑木林の夜の王者はヤブキリで、全身緑色、体長は5cmもあり、雌は3cmもある太い緑色の直刀のような産卵管をもっている。
夜行性で夏の夜、背の高い草やぶや、それに接する背の低い木の上にいて、キチキチキチ…とか、ジリジリジリ…と鳴いている。
成虫は肉食で、かなり大きな虫まで食べ、人の手もかまれると出血する。9月ごろ開けた雑木林の土中に、産卵管を直角にさし、卵を産みつける。