山麓と山地の川のトンボ

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山地を流れ、山麓から平地へ流れだす小川や川は、水がきれいで環境がよいので、飯綱高原の湧水池には全国的にも珍しいエゾイトトンボがすんでいる。

 山地の小川で、もっともふつうに見られるのがカワトンボで、体長は6cmほどで、細長く緑色である。成虫は5月から8月まで見られ、水辺でカ、ハエなどを食べている。幼虫は、川底の落ち葉や小石のあいだに身を隠しており、川底をはう虫を捕食している。


写真7-183 休憩しているカワトンボ

 山麓の小川には、オニヤンマの幼虫がすんでいる。オニヤンマの幼虫は2年から3年で体長4cmほどに成長するが、幼虫はいつも川底の砂や礫(れき)のなかに体を隠すようにうずめ、目玉だけ水中に出し、餌となる虫を探している。

 羽化期が近づくと幼虫は、水中から脱出し、約1週間ほど陸上生活をしてから、近くの木や草の茎をよじのぼり羽化する。羽化したオニヤンマは、一匹残らず深い山地へ移動し、約2ヵ月ほどそこでくらし、再びもとの水辺に帰り、交尾・産卵をする。


写真7-184 ミヤマアカネを食べるオニヤンマ

 裾花(すそばな)川や浅川、松代の蛭(ひる)川、神田川などの草が茂るところでは、ミヤマアカネ、マユタテアカネ、マイコアカネ、カトリヤンマなどや、クロサナエ、オナガサナエ、ヒメクロサナエなどがいる。