市街地は道も建物もコンクリートでつくられているうえに、植えられている植物も人為的に植えられたものが多い。そのため、チョウがすみつく条件は、きわめて悪く、限られたチョウが見られるだけである。
家庭の周辺に植えられているサンショウやカラタチ、鉢植えのミカンやユズなどミカン科の植物には、飛ぶ力が大きいアゲハやクロアゲハが知らぬ間に卵を産みつける。卵は葉の裏にあり、直径1.5mmの球形で黄褐色をしているが、1週間ほどで、小鳥のふんのような幼虫となる。こんな幼虫も4齢になると緑色となり、食べる葉の量も急に増えるので、枝の葉はたちまちなくなり裸になってしまう。
アゲハは1年に4~5回世代を繰りかえし、蛹で冬を越し、春一番に羽化した成虫は小型であるから「春型」と呼ばれる。それ以後、秋まで大型の「夏型」と呼ばれる成虫があらわれる。