河川敷のチョウ

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千曲川や犀川に浅川、蛭川、聖川などの河川敷には、カナムグラを食うキタテハや、ヤナギの葉を食べるコムラサキなどがいる。

 キタテハの幼虫は河川敷に生い茂るカナムグラの葉を袋状につづり合わせ、巣を作り、そのなかにいて、葉を食うときには外に出、ふんも外へ投げるように飛ばす。キタテハは1年に2回から3回世代を繰りかえし、成虫で冬を越すので、春や秋には、河原の日だまりで、日光浴をしている。


図7-27 キタテハの幼虫がカナムグラの葉をつづって作った巣と終齢幼虫


写真7-199 春の河原で日光浴をするキタテハ

 成虫はタンポポやアザミの花で蜜を吸うほか、ヤナギの樹液や落ちているカキの果汁を吸うなど、メニューは多様である。

 河川敷にはヤナギやニセアカシア、ハンノキなどの林もよく発達していて、こんな場所にはヤナギの葉を食うコムラサキの幼虫がいる。

 安茂里の犀川河川敷のヤナギ林にもコムラサキがすみつき、市内では一般的に1年に2世代を繰りかえすだけであるが、安茂里では、暖地と同じく3回世代を繰りかえすこと、夜は、何匹も同じ木をねぐらにしていること、近くを通るチョウを追いはらう「なわばり性」が強いことなどが知られている。

 コムラサキは幼虫で冬を越し、6月下旬には成虫があらわれるが、成虫はヤナギの樹液や水たまりの水、けもののふんの汁などを吸っている。


写真7-200 湿った砂から水を吸うコムラサキ