雑木林のチョウ

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雑木林には多くのチョウがいるが、代表は国蝶のオオムラサキで、市内全域の雑木林にいる。成虫があらわれるのは6月下旬で、日中は木のこずえにいて、他のチョウが近くを通ると、激しく追いはらう。成虫は花の蜜は吸わないで、食事のときは林内へ入りクヌギやコナラの樹液を吸ったり、落ちている果実の汁、けもののふんの汁、湿った土のなかの水などを好んで吸う。幼虫はエノキの葉を食べ、中間齢の幼虫で落葉下に移り冬を越す。


写真7-205 林の中に置いたスイカの汁を吸うオオムラサキ

 雑木林周辺にいるルリタテハも、オオムラサキのようにいかもの食いで、人やけもののふん、汗などを好んで吸う。成虫で冬越しをするので、春の山でよく見かける。なわばりをもつ習性が強く、ハエでもチョウでもトンボでも、動くものは手当たりしだいに追いはらい、追いはらうと、もとの位置にピタッともどって止まる。


写真7-206 ガードレールで日光浴をするルリタテハ

 雑木林には、地上に下りないで、こずえで一生を過ごすシジミチョウの一群がいる。

 もっともよく見かけるのがアカシジミで、成虫は6月にあらわれるが、活発に雑木林のこずえを飛び交うのは朝と夕方だけで、日中は日陰の葉の上で休んでいる。

 アカシジミの幼虫は、コナラの新芽を食うため、雌親は夏までにコナラの枝先にある越冬芽のわきに卵を産みつける。


写真7-207 羽化直後のアカシジミ

 雑木林の周辺にすみついているのがテングチョウで、成虫で冬を越すので、春には日当たりのよい山畑や山道で日光浴をしている。


写真7-208 山道で日光浴をするテングチョウ