山麓には多くのガ類がすみついているが、大型のガを代表するものはクスサンである。
幼虫は体が青白く長い白い毛をもっているので「シラガダユウ」とか「シラガタロウ」と呼ばれ、幼虫の体内にある絹糸腺(けんしせん)を取りだし引きのばし、釣り糸に使われた。幼虫はカキ、クリ、カシグルミなどの葉を食べ成熟すると、網目のある「すかしだわら」と呼ばれるまゆを作り蛹となる。
成虫は秋にあらわれ、外灯にも活発に飛来するので、外灯のまわりに無数の轢(れき)死体が残ることがある。
山麓で草を食べるガの代表はヒトリガである。ヒトリガは「火取蛾」の意味で、成虫は夏にあらわれ、活発に電灯やたき火に飛来する。5月から6月ごろ、体を波うたせながら道路や庭を歩いている大きな黒い毛虫が、ヒトリガの幼虫で、道ばたの草を手当たりしだい食べる。初夏に草むらの枯草の下で粗いまゆを作り蛹となる。