畑のテントウムシとコガネムシ類

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畑や家庭菜園に植えたナスやジャガイモの葉を食いあらすのが、オオニジュウヤホシテントウである。

 テントウムシダマシとも呼ばれ、体の背面には28個の黒紋があり、幼虫も成虫も、もっぱらナスやジャガイモの葉を食べるので、農家にとっては大害虫である。5月には芽を出したばかりのジャガイモの葉に卵を塊で産みつけ、6月には大量の刺(とげ)状の突起をもった幼虫が葉を食いあらし、葉の上で蛹となり成虫となる。年に2回世代を繰りかえし、成虫で草むらや落ち葉の下で冬越しをする。


写真7-224 ジャガイモの葉に産みつけられたオオニジュウヤホシテントウの卵の塊(上)と成虫(下)

 このテントウムシに対し、野菜につくアブラムシを食う、農家にとっては有益なテントウムシがいる。このテントウムシは、冬越しをするとき、落ち葉の下や物置の板材の下などで集団になる習性があり、写真7-225はその一例である。この集団には1匹大型のカメノコテントウが入っているが、その他はすべてテントウムシ1種で、斑紋(はんもん)の変化があることがわかる。


写真7-225 集団で冬越し中のテントウムシ

 市内で集めたテントウムシの斑紋は、図7-29に示すようにつぎの4種類であった。AとBの型は黒色地に赤橙色紋が出る型で、CとDは赤橙色の地に黒色紋が出る型で、A型が多かった。


図7-29 市内のテントウムシの斑紋の変化のタイプ

 畑には、このほかナナホシテントウがいて、野菜につくアブラムシを食べている。

 山麓の畑のネギやダイコンの花が咲くころ、冬越しを終えたコガネムシのなかまが蜜を吸いに集まってくる。春、野菜の花にくるのはコアオハナムグリ、ハナムグリ、クロハナムグリなどで、どれも成虫で土のなかにもぐって冬越しをしている種類である。


写真7-226 ネギの花に集まったコアオハナムグリ