ジガバチ(ジガバチ科)

519 ~ 519

 雌の体長は26mm。全体に黒色、腹部の第2節赤褐色。頭部は横に大きく、じょうぶな大あごをもち、この科独特の胸から腹へのつながりが長くて細い。地面を掘って巣造りすることや獲物を探しまわるときの羽音が「ジガジガ……」と聞こえることなどからこの名があり、狩人(かりゅうど)蜂の代表としてよく知られている。

 市街地の家の軒下や神社、グランドの隅、道ばた、河原などのやや乾いた土地、砂地のなかに巣をつくる。まず地中にほぼ垂直に細い穴を5~6cmほど掘り、その先を横にカイコのまゆぐらいの穴にする。ついでチョウ、ガの幼虫、とくにシャクトリムシ(シャクガの幼虫)を捕らえ麻酔し、地面をひきずって巣に運びこみ、ムシの腹部に1個産卵する。1つの巣に1個の産卵であるが、獲物の幼虫が小さいときは2~6匹ぐらい運びこむことになる。

 獲物狩りに出るときは、そのつど巣の入り口を小石でふさぎ、その上に砂をかける。

 このハチは頭と足、とくに口の力が強いので、巣穴をふさぐのに使う小石は自分の体重の10倍以上のものまで運び、顔や口などで入り口を押さえつける。


写真7-242 ジガバチ