フタモンアシナガバチ(スズメバチ科)

520 ~ 520

 体長は14~18mm。長い後足をだらりと下げて飛ぶようすから「アシナガバチ」の名がある。体は全体に黒いが、頭や胸・腹部に鮮やかな黄色の斑紋や帯状紋があり、とくに、腹部第二節背中に左右二つの黄色い長円紋があるので、この名がある。

 ごくふつうに見られ、巣は家の軒下、古い材木や河原・野山の草木などで、雨をさけた日当たりのよい場所に、枯れ枝や木材をかみ砕いた繊維とだ液を混ぜ、パルプ状の和紙質の巣をつくる。単独または集団で越冬した雌バチ(女王)は5月初旬に巣造りにかかり、産卵・巣造り・幼虫の餌(えさ)集め・給食・巣の守り・温度調節など、ただ1匹で大奮闘する。

 6月に待望の働きバチがつぎつぎと誕生する。これ以後雌バチは産卵に専念し、働きバチはその他の役割をうまく引き継ぐ。盛夏ごろには、巣の直径10cm、ハチの数70~90匹もの大家族になるのもある。

 働きバチは幼虫の餌として、チョウ・ガの幼虫を狩り、肉だんごとして運びあたえる。雌バチ(女王)にはこのほか花蜜や花粉などもあたえる。8月下旬ごろ、新しい雌バチと雄バチが生まれ、交尾した新雌バチ(新女王)だけが落葉や家屋のすき間、古い材木のなかなどで越冬する。


写真7-244 フタモンアシナガバチ