陸上でもっとも繁栄しているカやハエなどと同じ双翅目に属している。ブユ類は、人や家畜にとまって吸血することから、カやハエなどと同様に古くから衛生害虫として研究され、現在では幼虫、蛹、成虫のいずれでも名前がわかるまでになっている。初夏の夕方など、山近くの村や高原のきれいな水の流れているキャンプ地などで、顔のまわりや手足の肌の露出した部分に集まってくる。音もなくとまって血を吸い、そのあとがひどくかゆくなる小さなハエのような虫である。
このブユの幼虫は、きれいに澄んだ流水を好み、水底の石の表面や、水中に垂れさがった草の葉などにくっついて生活している。幼虫のからだは、胸部と腹部の末端が太く、中間がくびれて、ひょうたんを細長くしたような形をしている。
長野市では、オオブユのなかまが2種、アシマダラブユのなかまが11種、計13種が見られる。
近ごろ、ブユによる被害の話をあまり聞かないようになった。その理由は、農山村の過疎化や生活の変化によって吸血される機会が減ったことと、幼虫の好むきれいな小さな川が生活雑排水によって、しだいに汚されてきたためであろう。