1985年(昭和60)7月26日に突然起きた地附山の地すべりは、26人の尊い命を奪うとともに大きな被害をもたらした。これまで地すべりはほとんど発生しないと考えられた裾花凝灰(すそばなぎょうかい)岩層の山体で起きたことや、その規模の大きさ、運動機構の複雑さなどから、多くの研究者や技術者がさまざまな角度から注目し、詳細な調査がおこなわれてきた。そして、現代の土木工学の粋を集めて地すべり対策工事が施された。
基礎工事の終了後は、表土を安定させるため草の種子を吹きつけて緑化させている。しかし、地すべりの痕跡が一刻も早く緑でおおわれることが期待されたが思うようには進まなかった。そこで1993年(平成5)に地附山緑化計画検討委員会が発足し、どのように緑化していくかが審議され、早期にコンクリート法枠(のりわく)が隠れ、地すべり跡が目立たないようにするため、幼苗植栽手法によって樹林をつくりだすことになった。