長野市誌全16巻には、長野市域の自然をその周辺との関連をふくめて記述した「自然編」と、長野市域の自然に関する基本的な資料や動・植物の目録などを収録した「資料編自然」の2巻が計画されている。このうち本巻の「自然編」は、地形・地質、土壌、陸水、気象、植物、動物の章にわけて記述し、さらに、風土のなかで生活する人びとのくらしと自然保護についての章を設けた。
自然編のための資料調査と編集・刊行の計画は、すべて市誌編さん委員会と市誌刊行委員会に付議して進められた。
自然編のための調査・資料収集にあたっては、1991(平成3)年度以降、自然部会の部員を委嘱するとともに、部会内に地形・地質、土壌、陸水、気象、植物、動物の6分野会をもうけて出発した。各分野会では、分野のまとめ役として分野代表者を決め、執筆を分担した。また、執筆内容が多岐にわたるため、部員とともに調査・執筆にあたる専門研究者を調査執筆員として多数委嘱した。
実質的な調査活動は3年間程度の短期間であるため、部会の全体会議などを最小限度にとどめ、各部員・調査執筆員の研究調査活動に重点を置き、相互の連絡調整や研究調査上の問題点の検討は分野代表者会でおこなった。
また、自然編の特殊性を考慮し、見やすくわかりやすいものにするため、図版や写真を大きくしたり、自然の豊かで微妙な色彩が十分に生かされるよう、B5判2段組みオールカラーとした。文の記述にあたっては、できるだけ平易にし、市民に親しみやすいものとするよう心がけた。
広いフィールドをもつ長野市域の自然を短期間に調査することは、季節に限定されるという自然部会特有の大きな制約があった。このような状況のもとで、所定の期間内にまとめあげることができたのは、部員・調査執筆員の過去における長期間にわたる研究・調査の成果によるところが多く、その資料が活用されたことによるものであった。
本書の発刊にいたるまでには、気象庁地震火山部精密地震観測室(松代)・建設省北陸建設局千曲川工事事務所・長野地方気象台・長野県衛生公害研究所・長野営林署・長野県企業局川中島水道管理事務所・長野県庁・長野市理科教育センター・長野市役所などの諸公共機関からは、貴重な資料を提供していただいたり、機器・施設の使用をさせていただいた。また、地域の地名・山名や沢筋などを調べてくださった調査協力員の方がた、快く土壌調査に応じてくださった多くの地権者の方がた、写真を提供してくださった方がたをはじめ、多数の市民の皆さんから温かいご支援ご協力をいただいた。本書の出版にあたっては、東京法令出版株式会社の積極的な協力を受けた。あわせて深く謝意を表する。
長野市誌は、本年長野市制施行100周年にあたって本巻をはじめ最初の4巻を発刊し、以後2004(平成16)年度まで継続される予定である。この大きな編さん事業の所期の目的が達せられるよう、ひろく市民各位のご理解ご協力を切にお願い申しあげるしだいである。
1997年(平成9)10月16日