長野市の気候

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長野市は本州の中央部にあり、日本海からは約六〇キロメートル、太平洋からは約一八〇キロメートルも離れているために、海からの直接的な影響は少ない。しかし、中央高地のなかにある盆地のため、どちらかといえば、犀川をはさんで北部は日本海側、南部は太平洋側の気候に類似する。

 降水量の年変化では太平洋側の気候に近いが、降水日数や日照時間の年変化では日本海側の気候の影響があらわれている。つまり、長野市の気候は両者を複合したような太平洋側と日本海側との中間型の気候で、日較差や年較差が二六度と大きい内陸性気候である。

 内陸性のため降水量も年間平均九三八ミリメートルと本州ではもっとも少ない地域で、比較的多いのは六・七月と九月である。気温をみると夏の七・八月は三〇度をこえる日がつづき、冬は飯綱山や三登山(みとやま)の山麓(さんろく)の盆地北部は、善光寺平南部に比べて積雪が多く、最低氷点下一〇度ぐらいにまで下がるが、県内各地に比べれば比較的暖かい。年平均気温は一一・五度で東北地方とほぼ同じである。

 そのためか長野盆地の南部には、照葉樹のシイ・カシが育ち、モウソウチクもみられる。さらに、ここでは冬の暖かい気候を利用して、タマネギや麦の二毛作がおこなわれ、日本一田植えの遅い地帯となっている。

 湿度は年平均七三パーセントで、全国的にみてもとくに低いほうではなく、西部山地の犀川(さいがわ)横谷では霧が発生しやすい。