河川流域の中心地は分水嶺(ぶんすいれい)から流れだす川に水が集水する盆地である。こうした盆地はいずれも上流部に分水嶺、下流部に峡谷部があって両端が閉ざされ、おのおのの独立性が保たれている。周囲を山に囲まれた盆地は、まわりの山や峡谷によってはっきりした境界をもっているために、ひとつの完結した世界であると同時に閉鎖性の強い空間でもある。そのため、遺跡や歴史についても、盆地を単位にして地域性を把握することが有効である。
こうした長野盆地の周辺の山地や千曲川や犀川が形づくった地形こそ、この地域に住んだ人びとが歴史を織りなす舞台となった。つぎはそれぞれの遺跡が立地する高原や丘陵、河岸段丘、扇状地、千曲川低地、自然堤防に分けて地形を概観してみたい。