犀川合流前の千曲川は犀川扇状地に押されて盆地の東縁をゆるく蛇行し、河床勾配は一〇〇〇分の一である。若穂の牛島地籍、標高三三九メートルで双子川の犀川と合流し、犀川合流後は網状の流れとなって川幅が一キロメートルといっきょに広がり、それまでの四~五倍になる。合流点から朝陽の屋島橋までは一〇〇〇分の一・三と一時的に大きくなる。このために河床礫も粗大となる。これは千曲川に比べて犀川のほうが勾配が大きく、しかも砂礫の運搬量が多くて、地形形成に大きな影響をあたえているからである。
柳原の村山橋付近でふたたび一〇〇〇分の一勾配となり、それより下流はさらに勾配がゆるやかになる。この千曲川の両岸は氾濫原となり、比高数十センチメートルから一メートルほどの微小な起伏がある。微高地は自然堤防で、微低地は旧河道と後背湿地である。土地利用は、微高地は集落・畑・果樹園に利用され、現在の堤防もこの自然堤防上に設置されている。また、微低地の後背湿地は主に水田に利用されている。
市域北部では、長沼の大町から赤沼にかけて自然堤防と後背湿地が発達している。自然堤防は河床より三~四メートル高く、幅が一キロメートルもある大規模なものである。国道一八号は自然堤防と後背湿地の地形変換線に沿って走り、自然堤防上はリンゴ畑、後背湿地側は水田地帯にきれいに分かれている。またこの後背湿地には浅川が天井川を形成しながら北流し、豊野町浅野の東側の自然堤防が切れた地点で千曲川に合流する。
市域南部の犀川合流点より南の左岸は、犀川扇状地の張り出し地形のために後背湿地が発達せず、これがみられるのは篠ノ井の石川・塩崎である。これにたいして右岸の氾濫原は、更埴市雨宮と若穂川田に規模の大きな後背湿地を形成する以外は、現河道とのあいたの狭い範囲に小規模な扇状地や崖錐地形が形成されている。
松代町の牧島・寺尾・清野の湾入部には、何本かの旧河道(微低地)とその自然堤防(微高地)が数列に並列している。牧島は自然堤防上に集落があり、旧河道がこれを半円形に取り巻き、金井池は千曲川流域に現在も残る市域で唯一の河跡湖である。