中世の信州神社建築の特徴

1022 ~ 1022

県下に残る室町時代以降の中世神社建築では、つぎのものがある。

 (1) 向拝の桁が三本の、飯田市の白山社奥社本殿(重文、室町後期)(図11参照)

 (2) 大棟の両端の鬼板に木造の鬼面が付くもの(図35―51参照)。飯山市照丘の白山神社本殿(重文、室町中期)、佐久市塚原の駒形神社本殿(重文、室町後期)はこれである。

 (3) 皿板付斗栱がある(図15)。浅川の諏訪神社本殿では向拝の頭貫の木鼻(肘木)上に皿板付斗、海老虹梁(えびこうりょう)の尻上の斗にも皿板付斗がある(図20参照)。

 また、最近の調査で、向拝の頭貫上の中備(なかぞなえ)である本蟇股の中央が垂れる例が、浅川西条の諏訪神社本殿と戸隠村の南方(みなかた)神社本殿(県宝、桃山時代)にもあることが分かった(図8参照)。