黄天目茶碗(きてんもくちゃわん) 銀覆輪(ふくりん)付

1089 ~ 1089

未指定 一五世紀(室町時代) 松代町松代 真田宝物館蔵

陶製 天目形(てんもくがた) 黄瀬戸、美濃 高六・四センチメートル、口径一二・一センチメートル、高台径四・四センチメートル

 天目茶碗は中国宋時代、福建省の建窯(けんよう)で喫茶の碗(わん)として工夫された。のちに禅宗の行儀や喫茶の風習とともにわが国へ伝えられ、尾張の瀬戸や美濃でその倣製品(ほうせいひん)がつくられた。その主流は鉄釉(てつゆう)を主体とした黒色、茶褐色の仕上げが多い。そのなかでこの茶碗のように、灰釉系の黄天目、黄瀬戸天目とよばれるものもある。いずれも侘茶(わびちゃ)の流行にもとづき作陶されたものである。

 真田宝物館に収蔵される黄天目は、松代初代藩主真田信之所用と伝えられる黄天目茶碗で、黒漆塗り屈輪文の天目台がそえられ、口縁には銀の覆輪がつけられている。腰以下を露胎とし、素地に鉄泥(てつでい)を塗り、その上に黄釉をほどこし、釉中に禾目(かもく)風の窯変(ようへん)現象を起こさせている。侘茶の趣を基本にしながらも、一種の華やかさの気配をみせる黄瀬戸天目碗は、県下に伝世する茶道具のなかでは本格的なものとして貴重である。