短刀

1092 ~ 1092

県宝 一三世紀 松代町松代 真田宝物館蔵

平造 三ツ棟 身幅広く重ね厚く反りなし 鍛え小板目にこまかい地沸つく 刃文直刃小足入る茎生ぶ 鑢目(やすりめ)横 目釘穴三 銘「吉光」 刀長二四・六センチメートル、茎長一一・〇センチメートル

 吉光は鎌倉時代中期の山城国(京都府)粟田口(あわたぐち)派の刀工で、短刀の名手といわれ、国宝指定三口をはじめとして数々の名品を残している。豊臣秀吉は刀工のなかから、正宗、郷義弘、吉光を三名工として取り上げるなど、粟田口派の刀工への肩入れは大きかったようである。なおこの短刀は、真田家の所伝によれば、徳川家康から松代二代藩主真田信政が拝領したものと伝えられている。

 本短刀は、重ねはやや厚目、板目肌は地沸かこまかにわき、よく練れている。刃文は中直刃(なかすぐは)、先栗尻で三個の目釘穴のうち、一個は金で埋めこまれ、大振りの二文字銘で「吉光」と刻まれているが、字の一部が目釘穴にかかっている。二重ハバキは金無垢(むく)の台付きで、小柄(こづか)は後藤祐乗(ゆうじょう)(初代)の作と伝えられる。