質屋・古着屋

296 ~ 297

善光寺領は役人の数がごく少なく、細部のことはほとんど町方の自治になっていた。町年寄役場の取り締まりから質屋・古着屋宛に達せられる掟(おきて)はつぎのようなものだった。

  掟(質屋あて)

 一質物を取るときは請人(うけにん)二人の判が必要である。

 一請人があっても、質物の出所をよく糺(ただ)すこと。

 一よく調べずに盗難品などを受けとった場合は、きびしく申しわたされる。

   掟(古着屋あて)

 一古着はどこから買い入れても、色・品・紋所・縞柄(しまがら)などを明細に帳面につけておくこと。

 一古着を買い入れる場合は売り主から受取書を取っておくこと。

 一売り主の身元をよく相糺し、人躰(にんてい)の怪しいものからはいっさい買い入れないこと。

 右の掟は、質屋・古着屋の帳面の巻頭に記し、「紙数何枚」と書く。