近世の祠堂金

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近世に入ってからも、祠堂金は幕府の特別の保護をうけた。祠堂金というのは、どのお寺にあってもかまわないものであるが、近世においては、幕府公認の祠堂金のみを狭義の祠堂金と称したことがあるようである。祠堂金は、一定の元本(がんぽん)をきめ、寺塔の修復とか、徳川氏関係者の法事料だとかいろいろの名目をつけて貸しだされるので、名目(みょうもく)金とも称された。

 幕府公認の祠堂金貸し出しは、青蓮院(しょうれんいん)(京都市)・妙法院(同)・円満院(滋賀県大津市)各門跡(もんぜき)、伝通院(でんずういん)(東京都文京区)・高野山(和歌山県伊都郡高野町)・大徳寺(京都市)などでおこなわれていた。