特別会計

315 ~ 316

祠堂金が善光寺大勧進にとって、一種の特別会計として、幕末になるにしたがって重要度を加えていくのは、大名などの特別会計、たとえば松代藩における余慶方(よけいかた)などの場合と同様である。大勧進の年間恒常収入は近世末期においておよそ一二〇〇両程度であり、文政年間(一八一八~三〇)においてすでに年間平均三〇〇両ほどの赤字を生ずるのが例であった。これらの赤字は借入れ金で埋められたが、祠堂金として導入された金がそれにまわされる場合があった。諸堂修理などは大金を要するので、出開帳による臨時収入をそれにあてる例であったが、近世末期には諸院坊や領民の反対で出開帳がおこなわれなくなったので、諸堂修理費に祠堂金の支出される場合のあったことは、表11でも明らかである。