あとがき

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 長野市誌全一六巻には、現長野市域を中心とした原始時代から現代にいたる人びとのあゆみをまとめた歴史編六巻が計画されている。そのうちこの第三巻近世一は、第二巻原始・古代・中世につぐ巻で、主として江戸時代前期から中期にかけての長野市域の歴史を具体的に記述した。

 近世の史料調査と編集・刊行の計画については、すべて市誌編さん委員会と市誌刊行委員会に付議してすすめられた。

 近世史の史料調査は、平成二~三年度に長野県史刊行会から、現長野市域の史料写真のネガフィルムを借りうけて紙焼きすることから始められた。つづいて平成三年度以降、部員と調査執筆員からなる近世史専門部会によって編さん活動が推進された。部会はまず近世二巻の章・節構成とその執筆分担をきめ、さらに近世一の項目立ての検討をすすめるいっぽう、近世史関係の史料調査を本格的に始めた。史料調査は、専門部会による共同調査と市誌編さん室の調査および個人調査を組みあわせておこなった。

 地元では、長野市立博物館所蔵・寄託文書、真田宝物館所蔵・寄託文書、長野県立歴史館所蔵・寄託文書、善光寺大勧進・大本願所蔵文書などをはじめ、市域各地区の区有文書や多数にのぼる個人所蔵文書を調査した。史料の所在などについては、各地区の調査協力員の助力を得た。また、市域から外へ出ている文書については、東京都の国文学研究資料館史料館所蔵『松代真田家文書』・『松代八田家文書』・『松代依田家文書』や徳川林政史研究所所蔵の『小林家文書』(信更町田野口)、埼玉県大宮市の『北小坂家文書』(柳原村山)、徳島市の『高橋家文書』(横沢町)などの史料を採訪した。これらの史料はすべて、選択して写真撮影する方法で収集した。現在なお、補充調査を継続しているが、これまでに収集した史料写真は二万六〇〇〇点余にのぼっている。

 平成九年度から原稿執筆に入った。部会を毎月一回開き、すべての原稿について検討を重ね、正確で読みやすい書物にすることにつとめた。なお、部員・調査執筆員といっても、調査・研究・執筆など部会の編さんの仕事においてはまったく同一で異なるところはない。

 本書が刊行されるにあたって、調査や写真掲載に快く応じてくださった史料所蔵機関・個人各位をはじめ、多数の方がたから多大の協力をいただいた。本書の製作にあたっては東京法令出版株式会社の、また史料の撮影にあたっては山本マイクロシステムセンターの協力をうけた。あわせて深く謝意を表する。

 長野市誌は、当平成十二年度までに一〇巻を刊行し、引きつづき平成十六年度までに残る六巻を刊行する予定である。この大きな修史事業が大成されるよう、ひろく市民各位のご理解ご協力を切にお願い申しあげるしだいである。

  平成十三年(二〇〇一)二月五日

長野市誌編さん委員長 中村一雄