平成六年(一九九四)現在、長野市の工業は、従業者・製造品出荷額とも、第一位電気機械器具、第二位出版・印刷・同関連産業、第三位食料品である。事業所数では出版・印刷三九七、食料品二一六、電気機械器具一五一で、ことに出版・印刷には零細業者が多く、個人営業が一二四とほぼ半分を占める。
印刷会社は、昭和三十七年、信毎書籍が南県(あがた)町から西和田へ、同三十九年にカシヨが同じく西和田へ、蔦友が大門町から平林へなど、旧市内から郊外へ移転したものが多い。現在印刷業者のもっとも多いのは古牧、ついで芹田で、この両地区で一二八を占め、旧市内の一〇八より多い。
現在、長野市の工業の首位を占める電気機械器具は、昭和十七年に南石堂町の町工場を富士通が買収したのに始まるといってもよい。もちろん富士通長野工場(北尾張部)・新光電気(栗田)・長野日本無線(稲里)など主な工場はみな郊外にある。しかし、情報処理の電算など、大きなスペースのいらない企業や大企業の支店などは、旧市内に多い。北野建設(昭和二十一年創業)・守谷商会(同三十年創業)など大手建設会社も本店を旧市に置いている。